[POETIC LABORATORY] ★☆★魔術幻燈☆★☆

詩と翻訳、音楽、その他諸々

【復刊希望】山村暮鳥『聖三稜玻璃』午後

 

セント三稜玻璃プリズム
山村暮鳥 著

 
午 後

さめかけたきいろい花かんざしを
それでもだいじさうに
髮に插してゐるのは土藏の屋根の
無名草
ところどころの腐つた晩春……
壁ぎはに轉がる古いからつぽの甕
一つは大きく他は小さい
そしてなにか祕密におそろしいことを計畫たくらんでゐる
その影のさみしい壁の上
どんよりした午後のひかりで膝まで浸し
瞳の中では微風の纖毛の動搖。