- 序
- フランク・シナトラ
- カウント・ベイシー楽団
- エラ & ルイ
- ドリス・デイ
- ヘンリー・キングとホテル・ピエール楽団(初録音)
- フレディ・マーチン楽団 + エルマー・フェルドカンプ
- レイン・メネゼス
- エディ・ヒギンズ
- ニッキ・パロット
- ダイナ・ショア
- ジュリー・ロンドン
- Olivia Chindamo
- ローラ・アングラード
- 権上康志
序
もう4月も終わろうというのに、今更とは申し訳ない。4月の歌ということで、『悪の華』86. 「風景」で紹介した April in Paris を、未紹介の演奏で聴いてみる。
フランク・シナトラ
何故か『パリの4月』初出はフランク・シナトラだと思い込んでいたので、先ずそちらから。
ドアーズのジム・モリソンもファンだったシナトラ御大の歌は、April in Paris... と歌い出す前に少し前置きがある。何だかミュージカル風だなと感じていたら、後でそれが正解だったと知れて驚いた。歌はいつものシナトラ節で、どういう盛り上げ方をするのかファンの人なら聞く前から解っていそうだが、だからといってワンパターンだと非難されるようなことがないのも人徳というものか。ユージン・オーマンディ指揮するフィラデルフィア管弦楽団が、いつもどの曲も全く同じ綺羅びやかな音色で演奏するのには閉口してしまうのに、ジャンルが違うからか、この歌い方にケチつける気にはならない。
カウント・ベイシー楽団
前回はブルーノート・レコードの The Magnificent Thad Jones から紹介したが、当のサド・ジョーンズが在籍した当時のカウント・ベイシー楽団なので、当然ながら同じ趣向。コンボとビッグバンド何れを取るかは正直、お好み次第。
エラ & ルイ
1956年録音 Ella & Louis からの一曲。素晴らしい。実に素晴らしい。しかしオリジナルではない。
ドリス・デイ
ドリス・デイの映画の方が少しだけ早い。歌も上手い……というか、歌って踊れる演技の巧みな美男美女俳優がゴロゴロしていたのがハリウッドではなかったか。今日の体たらくは見るに耐えない。
ヘンリー・キングとホテル・ピエール楽団(初録音)
と、ここまで聴いて漸く気がつき、クレジットを見たら、ヴァーノン・デュークとエドガー「イップ」ハーバーグの作詞作曲だった。初録音は1933年。
このヘンリー・キングという人はピアニストだったそうで、ホテル・ピエール楽団というのは、彼が経営していたのだろうか。レイモンド・チャンドラーの短篇に、ホテル楽団やらラッパ吹きのキング・レオパルディやら出てきたから、そういう時代だったのか。
フレディ・マーチン楽団 + エルマー・フェルドカンプ
元は Walk A Little Faster というミュージカルの劇中歌だったが、そちらはコケてこの曲のみ残ったらしい。そりゃまあ題名からして「歩くにも、ちったあ急げ」とせっつかれるより、「パリの4月」の方が行ってみたくもなろうというもの。しかし結局この歌、名曲とされるには、ドリス・デイあってのものではなかったか。
とまれ、経緯が解ったところで、今風のものも聴いてみる。
レイン・メネゼス
ここで使っているのは電子楽器と思われるけれど、オルガンと鉄琴で似たような音は出せるであろう。何を鳴らそうと、センスが良ければ全て善し。
エディ・ヒギンズ
エディ・ヒギンズのトリオ、2015年録音。わざわざ写真を白黒にする必要はなかったのでは……そういうノスタルジックな音ではある、歌なし唸り入り。
ニッキ・パロット
ニッキ・パロット2019年録音。ヘレン・メリルを彷彿させる声質。
ダイナ・ショア
クラシック畑の指揮者アンドレ・プレヴィンがピアノでお供を務める、ダイナ・ショア1960年の録音。ちょっとお澄ましして音質良好、その分だけ jazz から離れる感じがちょっと残念。
ジュリー・ロンドン
ギターも弦楽も入った豪華な編成を背に歌うジュリー・ロンドン1968年録音。金かかってるなあ、期待もかかってたんだろうな。アポロ11号月着陸の前年、エレクトロニクスが真空管から半導体に置き換わっていく、ちょっと残念な時代だ。
Olivia Chindamo
「オリヴィア・チンダモ」と読むのだろうか?ホームページ見てもそこは解らなかった。
ローラ・アングラード
2024年6月という最新録音。シンバルがよく聞こえるし、歌詞表示もあり、聞き取り易さでは一番かもしれない。冒頭のア・カペラから既に音圧高めなので、少しボリューム下げて。
権上康志
個人的な知り合いというか。帽子のベーシスト権上康志君と小森陽子さんのピアノ、この組み合わせの Duo は珍しいかも。
如何でしたか?お気に召した演奏が一つでもあれば幸甚。


