悪の華
Les Fleurs du mal (1861)
Charles Baudelaire/萩原 學(訳)
葡萄酒
LE VIN 
106. 孤独のワイン
CVII
LE VIN DU SOLITAIRE
画像は Planet Color 塗り絵から

凛とした女性の類なき眼差しは
我等に滑り来る白い光線のよう
さり気なく中に浸れる美人も同様、
揺らめく湖面に波打つ月が放つは、
Le regard singulier*1 d’une femme galante
Qui se glisse vers nous comme le rayon blanc
Que la lune onduleuse envoie au lac tremblant,
Quand elle y veut baigner sa beauté nonchalante,
博徒の摑む最後のエキュひと袋、
痩せたアデリーヌからの自由奔放な口づけ、
不安を掻き立てるほど愛らしい音楽の音、
遠くから聞こえる人間の苦痛の叫びにも似たもの、
Le dernier sac d’écus*2 dans les doigts d’un joueur,
Un baiser libertin de la maigre Adeline*3,
Les sons d’une musique énervante et câline,
Semblable au cri lointain de l’humaine douleur,

これらすべてに価値はない、深遠なる瓶よ、
敬虔な詩人の渇いた心に、よく浸みる香油を
蓄える、妊娠していそうな腹に、
Tout cela ne vaut pas, ô bouteille profonde,
Les baumes pénétrants que ta panse féconde
Garde au cœur altéré du poète pieux ;
おまえは注ぐ、彼に希望と若さと生命を、
……そして誇りを、すべての乞食の宝を、
我等を導く、勝利そして神の輩に!
Tu lui verses l’espoir, la jeunesse et la vie,
— Et l’orgueil, ce trésor de toute gueuserie,
Qui nous rend triomphants et semblables aux Dieux !
ショスタコーヴィチ第13弦楽四重奏曲
この曲については、高名なボロディン四重奏団の、しかし数少ない動画が上がっており、不穏な旋律を数多く含むこの曲を見事に美しく演奏していたから、最初はそちらを貼るつもりだった。ところが、再生188回 5年前となっていたこの動画を見て、予定変更。
音色は柔軟で美しく、ちょくちょく音飛びを起こすのが悔やまれるものの。譜めくりの音まで時折聞こえるほど明瞭な録音と相まって、息の合った斉奏時の強弱も見事。リーヴァ(?)四重奏団の名を聞いたことは無かったが、ボロディン四重奏団にも比肩する出来映え。これで人気がないのはどうにも残念でならず、応援を兼ねてここに取り上げる。