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- 悪の華Les Fleurs du mal (1861)
連禱 Litany とは、カトリック教会などで行われてきた応答形式の祈禱。音楽抜きのカンタータのようなものであり、音楽になったものもある。
正教会では、輔祭の祈願に対し、詠隊が応える形で、祈禱を続ける。 ja.wikipedia.org
現代のカトリック教会では『連願』という。
詩篇136番は、その典型。
詩篇136
- 主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- もろもろの神の神に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- もろもろの主の主に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- ただひとり大いなるくすしきみわざをなされる者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 知恵をもって天を造られた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 地を水の上に敷かれた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 大いなる光を造られた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 昼をつかさどらすために日を造られた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 夜をつかさどらすために月と、もろもろの星とを造られた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- エジプトのういごを撃たれた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- イスラエルをエジプトびとの中から導き出された者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 強い手と伸ばした腕とをもって、これを救い出された者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 紅海を二つに分けられた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- イスラエルにその中を通らせられた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- パロとその軍勢とを紅海で打ち敗られた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- その民を導いて荒野を通らせられた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 大いなる王たちを撃たれた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 名ある王たちを殺された者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- アモリびとの王シホンを殺された者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- バシャンの王オグを殺された者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 彼らの地を嗣業として与えられた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- そのしもべイスラエルに嗣業としてこれを与えられた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- われらが卑しかった時にわれらをみこころにとめられた者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- われらのあだからわれらを助け出された者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- すべての肉なる者に食物を与えられる者に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 天の神に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。
- 形式だけ借りてきたボードレールは、どうやら教会との折り合いが良くなかったようである。そもそも詩人という人種は「我こそは世界一」と誰もが信じ込んで止まないため、自分よりも偉そうな人間を見ると是が非でも扱き下ろしたくなるものなのだから、これは詩人の率直な傲慢というか、自負であろう。
- Satan:
- 「魔王」と訳すこともあるが、聖書のサタンは悪意ある者の典型であり、悪魔全体の支配者ではない。
旧約聖書
歴代志上21章
1 時にサタンが起ってイスラエルに敵し、ダビデを動かしてイスラエルを数えさせようとした。
ヨブ記1章
6 ある日、神の子たちが来て、主の前に立った。サタンも来てその中にいた。7 主は言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。8 主はサタンに言われた、「あなたはわたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか」。9 サタンは主に答えて言った、「ヨブはいたずらに神を恐れましょうか。
12 主はサタンに言われた、「見よ、彼のすべての所有物をあなたの手にまかせる。ただ彼の身に手をつけてはならない」。サタンは主の前から出て行った。
ヨブ記2章
1 ある日、また神の子たちが来て、主の前に立った。サタンもまたその中に来て、主の前に立った。2 主はサタンに言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。3 主はサタンに言われた、「あなたは、わたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか。あなたは、わたしを勧めて、ゆえなく彼を滅ぼそうとしたが、彼はなお堅く保って、おのれを全うした」。4 サタンは主に答えて言った、「皮には皮をもってします。人は自分の命のために、その持っているすべての物をも与えます。
6 主はサタンに言われた、「見よ、彼はあなたの手にある。ただ彼の命を助けよ」。7 サタンは主の前から出て行って、ヨブを撃ち、その足の裏から頭の頂まで、いやな腫物をもって彼を悩ました。
ゼカリヤ書3章
1 時に主は大祭司ヨシュアが、主の使の前に立ち、サタンがその右に立って、これを訴えているのをわたしに示された。2 主はサタンに言われた、「サタンよ、主はあなたを責めるのだ。すなわちエルサレムを選んだ主はあなたを責めるのだ。これは火の中から取り出した燃えさしではないか」。
新約聖書
マタイによる福音書4章
10 するとイエスは彼に言われた、「サタンよ、退け。『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。
マタイによる福音書12章
26 もしサタンがサタンを追い出すならば、それは内わで分れ争うことになる。それでは、その国はどうして立ち行けよう。
マタイによる福音書16章
23 イエスは振り向いて、ペテロに言われた、「サタンよ、引きさがれ。わたしの邪魔をする者だ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」。
マルコによる福音書1章
13 イエスは四十日のあいだ荒野にいて、サタンの試みにあわれた。そして獣もそこにいたが、御使たちはイエスに仕えていた。
マルコによる福音書3章
23 そこでイエスは彼らを呼び寄せ、譬をもって言われた、「どうして、サタンがサタンを追い出すことができようか。
26 もしサタンが内部で対立し分争するなら、彼は立ち行けず、滅んでしまう。
マルコによる福音書4章
15 道ばたに御言がまかれたとは、こういう人たちのことである。すなわち、御言を聞くと、すぐにサタンがきて、彼らの中にまかれた御言を、奪って行くのである。
マルコによる福音書8章
33 イエスは振り返って、弟子たちを見ながら、ペテロをしかって言われた、「サタンよ、引きさがれ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」。
ルカによる福音書10章
18 彼らに言われた、「わたしはサタンが電光のように天から落ちるのを見た。
ルカによる福音書11章
18 そこでサタンも内部で分裂すれば、その国はどうして立ち行けよう。あなたがたはわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出していると言うが、
ルカによる福音書13章
16 それなら、十八年間もサタンに縛られていた、アブラハムの娘であるこの女を、安息日であっても、その束縛から解いてやるべきではなかったか」。
ルカによる福音書22章
3 そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテと呼ばれていたユダに、サタンがはいった。
31 シモン、シモン、見よ、サタンはあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って許された。
ヨハネによる福音書13章
27 この一きれの食物を受けるやいなや、サタンがユダにはいった。そこでイエスは彼に言われた、「しようとしていることを、今すぐするがよい」。
使徒行伝5章
3 そこで、ペテロが言った、「アナニヤよ、どうしてあなたは、自分の心をサタンに奪われて、聖霊を欺き、地所の代金をごまかしたのか。
ローマ人への手紙16章
20 平和の神は、サタンをすみやかにあなたがたの足の下に踏み砕くであろう。どうか、わたしたちの主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。
コリント人への第一の手紙5章
5 彼の肉が滅ぼされても、その霊が主のさばきの日に救われるように、彼をサタンに引き渡してしまったのである。
コリント人への第一の手紙7章
5節 互に拒んではいけない。ただし、合意の上で祈に専心するために、しばらく相別れ、それからまた一緒になることは、さしつかえない。そうでないと、自制力のないのに乗じて、サタンがあなたがたを誘惑するかも知れない。
コリント人への第二の手紙2章
11 そうするのは、サタンに欺かれることのないためである。わたしたちは、彼の策略を知らないわけではない。
コリント人への第二の手紙11章
14 しかし、驚くには及ばない。サタンも光の天使に擬装するのだから。15 だから、たといサタンの手下どもが、義の奉仕者のように擬装したとしても、不思議ではない。彼らの最期は、そのしわざに合ったものとなろう。
コリント人への第二の手紙12章
7 そこで、高慢にならないように、わたしの肉体に一つのとげが与えられた。それは、高慢にならないように、わたしを打つサタンの使なのである。
テサロニケ人への第一の手紙2章
18 だから、わたしたちは、あなたがたの所に行こうとした。ことに、このパウロは、一再ならず行こうとしたのである。それだのに、わたしたちはサタンに妨げられた。
テサロニケ人への第二の手紙2章
9 不法の者が来るのは、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力と、しるしと、不思議と、
テモテへの第一の手紙1章
20 その中に、ヒメナオとアレキサンデルとがいる。わたしは、神を汚さないことを学ばせるため、このふたりをサタンの手に渡したのである。
テモテへの第一の手紙5章
15 彼女たちのうちには、サタンのあとを追って道を踏みはずした者もある。
ヨハネの黙示録2章
9 わたしは、あなたの苦難や、貧しさを知っている(しかし実際は、あなたは富んでいるのだ)。また、ユダヤ人と自称してはいるが、その実ユダヤ人でなくてサタンの会堂に属する者たちにそしられていることも、わたしは知っている。
13 わたしはあなたの住んでいる所を知っている。そこにはサタンの座がある。あなたは、わたしの名を堅く持ちつづけ、わたしの忠実な証人アンテパスがサタンの住んでいるあなたがたの所で殺された時でさえ、わたしに対する信仰を捨てなかった。
24 また、テアテラにいるほかの人たちで、まだあの女の教を受けておらず、サタンの、いわゆる「深み」を知らないあなたがたに言う。わたしは別にほかの重荷を、あなたがたに負わせることはしない。
ヨハネの黙示録3章
9 見よ、サタンの会堂に属する者、すなわち、ユダヤ人と自称してはいるが、その実ユダヤ人でなくて、偽る者たちに、こうしよう。見よ、彼らがあなたの足もとにきて平伏するようにし、そして、わたしがあなたを愛していることを、彼らに知らせよう。
ヨハネの黙示録12章
9 この巨大な龍、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わす年を経たへびは、地に投げ落され、その使たちも、もろともに投げ落された。
ヨハネの黙示録20章
2 彼は、悪魔でありサタンである龍、すなわち、かの年を経たへびを捕えて千年の間つなぎおき、
7 千年の期間が終ると、サタンはその獄から解放される。
以上が聖書に出てくる「サタン」の全てであり、思ったより少ない。『創世記』に於ける誘惑の蛇がサタンだというのは、後世の附会に過ぎず、その名は『創世記』には出てこない。その印象の多くは『ヨブ記』及び『ヨハネの黙示録』に負うものであろう。
総じて、サタンの描写には、時代による変遷が認められる。旧約聖書の記すサタンは、神への告げ口に勤しむ者であり、人に災いを齎す者である。自然災害の擬人化とも取れる。新約聖書の記すサタンは、人の揚げ足を取ろうとする存在であり、むしろ悪霊、または悪意を持つ人に近く、「悪魔」そのもの。但しフランス語に於ける「悪魔」は専ら diablo と呼ばれるので、一般的なそれとは区別されている。ボードレールが此等を何処まで認識していたかは甚だ怪しく、ダンテ『神曲』地獄篇やゲーテ『ファウスト』バイロン卿『カイン』等の影響が窺える詩の内容からして「魔王」「ルシファー」な印象を受ける。が、ミルトン『失楽園』に倣ってか、Satan と固有名詞扱いしている現状に鑑みて、ここでは「サタン」に統一する。
『悪の華』裁判に於て問題とされつつも、本作が削除対象にはならなかったのも、ミルトンの亜流と看做されたお陰であろうから。
悪の華
Les Fleurs du mal (1861)
Charles Baudelaire/萩原 學(訳)
叛逆
RÉVOLTE

120. サタンへの連祷
CXX
LES LITANIES DE SATAN
十二音綴による対句+合唱

あゝ汝、天使たちの中で最も賢く最も美しい方よ、
運命に裏切られ、称賛を剥奪された神よ、
Ô toi, le plus savant et le plus beau des Anges,*1
Dieu trahi par le sort et privé de louanges,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
あゝ亡国の王子よ、轗軻不遇に遭う方よ、
敗北してなお、より強く立ち上がる方よ、
Ô Prince de l’exil,*2 à qui l’on a fait tort,*3
Et qui, vaincu, toujours te redresses plus fort,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
すべてを知り尽くす方、地下世界の偉大なる王よ、
人の苦悩に精通した癒し手よ、
Toi qui sais tout, grand roi des choses souterraines*4,
Guérisseur*5 familier des angoisses humaines,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
汝こそは、癩病み、呪われた除け者にも、
愛をもて天国の味を示し給う方よ、
Toi qui, même aux lépreux*6, aux parias maudits,
Enseignes par l’amour le goût du Paradis,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
あゝ「死」なる、老いても力強き愛人もて産み給える方よ、
かの「希望」――すなわち魅力的な狂女を!
Ô toi qui de la Mort, ta vieille et forte amante,
Engendras l’Espérance, — une folle*7 charmante !
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
除け者にさえくれてやる、その穏やかで高貴な眼差しを
断頭台を取り囲む全ての民を呪い給える方よ、
Toi qui fais au proscrit ce regard calme et haut
Qui damne tout un peuple autour d’un échafaud,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
地上のどの隅に有るか御存知の方よ、
妬み深い「神」の羨む宝石の隠し場所を、
Toi qui sais en quels coins des terres envieuses*8
Le Dieu jaloux cacha les pierres précieuses,*9
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
澄んだ瞳もて底知れぬ武器庫を知れる方よ
金属の民が眠れる所の
Toi dont l’œil clair connaît les profonds arsenaux
Où dort enseveli le peuple des métaux,*10
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
大なる御手もて断崖を隠す方よ
夢遊病者に、建物の縁をさまよう
Toi dont la large main cache les précipices
Au somnambule*11 errant au bord des édifices,*12
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
魔法のように、老骨の身をも柔軟になさる方よ
呑み明かして馬群に踏まれた酔っ払いの
Toi qui, magiquement, assouplis les vieux os
De l’ivrogne*13 attardé*14 foulé*15 par les chevaux*16,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
悩める弱者の慰め教えし方よ、
硝石と硫黄の混ぜ合わせ方を、
Toi qui, pour consoler l’homme frêle qui souffre,
Nous appris à mêler le salpêtre et le soufre,*17
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
額に印を刻み給う、なんと狡猾な共犯者よ、
冷酷にして卑劣なクロイソスの、
Toi qui poses ta marque,*18 ô complice subtil,
Sur le front du Crésus*19 impitoyable et vil,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
少女たちの目と心に植え付ける方よ
傷跡への崇拝とボロ切れへの愛を、
Toi qui mets dans les yeux et dans le cœur des filles
Le culte de la plaie*20 et l’amour des guenilles*21,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
亡命者の杖、発明家のランプ、
絞首刑囚や陰謀家共の告解師、
Bâton des exilés, lampe des inventeurs,
Confesseur*22des pendus et des conspirateurs,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
黒き怒りもて、追われし者たちの養父よ
地上の楽園より、父なる神の、
Père adoptif*23 de ceux qu’en sa noire colère*24
Du paradis terrestre a chassés Dieu le Père,
嗚呼サタンよ憐れみ給え、わが久しき無惨を!
Ô Satan, prends pitié de ma longue misère !
祈願 PRIÈRE
サタンよ、汝に栄えと誉れあれ。
かつて君臨せる天の高みにあれ、
敗れて、静かに夢見る地獄の深みに於て!
いつの日にかわが魂、知恵の樹の下にて、
汝が額に、新たな神殿の如く枝葉の広がる時に、
その傍らに、安らぎを得られますように!
Gloire et louage à toi, Satan, dans les hauteurs
Du Ciel, où tu régnas, et dans les profondeurs
De l’Enfer, où, vaincu, tu rêves en silence !
Fais que mon âme un jour, sous l’Arbre de Science,
Près de toi se repose, à l’heure où sur ton front
Comme un Temple nouveau ses rameaux s’épandront !*25
dominik wania trio : ravel
しばらく前に買った CD の紹介をしたかったのだが、何故か AMAZON でも楽天でも出てこない。タワーレコードなら Dominik Wania Ravel で見つかる。jazz 仕立てのラヴェル・アルバムという珍品。からの一曲。ジャケット写真も、鍵盤に見せかけた洗濯バサミという、妙なヒネリ方をした造り。fortune というレーベルで、ポーランド製。人気がないというより、流通が弱いのだろう。意欲的な取り組みに対して、この扱いは残念でならない。
訳注
*1:バイロン卿『カイン』に出てきたルシファーを想起させる。「ルシファー」の原義は「明けの明星」なので、邦訳聖書ではそちらで訳す。
- イザヤ書
- 14章12 黎明の子、明けの明星よ、
あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、
あなたは切られて地に倒れてしまった。 - ヨハネの黙示録
- 2章 28 わたしはまた、彼に明けの明星を与える。
- 22章 16 わたしイエスは、使をつかわして、諸教会のために、これらのことをあなたがたにあかしした。わたしは、ダビデの若枝また子孫であり、輝く明けの明星である」。
サタン=ルシファーとは、聖書に明言されてはいない。それらしきものがイエスの言葉にあるので、同一存在と推定される。
- ルカによる福音書
- 10章 18 彼らに言われた、「わたしはサタンが電光のように天から落ちるのを見た。
*2:この Prince は「君主」に当たるが、物語の登場人物として人口に膾炙した言い回しを採用
*3:翻訳機は「不当な扱いを受けた者」くらいに訳すが、もっと古風で怒りの籠もった詩句に聞こえる
*4:欧州では城塞や教会などに地下道・酒蔵・墳墓・牢獄などの地下構造物が実在、あるいは存在が伝えられ、「ダンジョン」その他異世界的な印象がある。fr.wikipedia.org
*5:民間の治療師、または祈祷師を指す
*6:今で言うハンセン氏病に当たり、顔貌が崩れてしまう予後ゆえに非常に恐れられ、呪いとされて隔離された事もあった。その差別的な扱いが嘗ては聖書に載り、近くは白土三平の作品に描かれた事もあった。ボードレールのさり気ない言及も、その側面を誰もが知るからこそ。実際に社会問題となり、今や「癩(らい)」の文字が差別として排斥されるに至ったものの、この手の言葉狩りが内実を虚しくするばかりなのは、皆様ご承知の通り。癩菌による伝染病でありながら、癩菌の感染発症力は極めて弱く、その蔓延が不思議に思えてならない程。であるが、このことは同時に、この病気に悩まされた人々がそもそも貧困に悩まされた可能性を示しており、その意味では二重に差別的と言える事象ではある。今では治療薬もあるから、尚更この病気を恐れる必要はない。但し、アルマウェル・ハンセンが病原菌を発見したのは1873年のことであり、それ以前は似た症状の別の病と混同した可能性がある。邦訳聖書で「らい病」と訳されていた箇所は、ヘブル語「צָרַעַת ツァーラアト」ギリシヤ語「λέπραレプラ」に当たり、実際には広く皮膚病や染みを指し、ハンセン氏病以外を含んでいたかもしれない。
- マタイによる福音書8章
- イエスが山をお降りになると、おびただしい群衆がついてきた。2 すると、そのとき、ひとりのらい病人がイエスのところにきて、ひれ伏して言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。3 イエスは手を伸ばして、彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病は直ちにきよめられた。4 イエスは彼に言われた、「だれにも話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた供え物をささげて、人々に証明しなさい」。
- ルカによる福音書17章
- 11 イエスはエルサレムへ行かれるとき、サマリヤとガリラヤとの間を通られた。12 そして、ある村にはいられると、十人のらい病人に出会われたが、彼らは遠くの方で立ちとどまり、13 声を張りあげて、「イエスさま、わたしたちをあわれんでください」と言った。14 イエスは彼らをごらんになって、「祭司たちのところに行って、からだを見せなさい」と言われた。そして、行く途中で彼らはきよめられた。15 そのうちのひとりは、自分がいやされたことを知り、大声で神をほめたたえながら帰ってきて、16 イエスの足もとにひれ伏して感謝した。これはサマリヤ人であった。17 イエスは彼にむかって言われた、「きよめられたのは、十人ではなかったか。ほかの九人は、どこにいるのか。18 神をほめたたえるために帰ってきたものは、この他国人のほかにはいないのか」。19 それから、その人に言われた、「立って行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのだ」。
*7:形容詞 fou 「狂ってる」「イかれてる」「どうかしてる」の女性形。冠詞 une が付くと「狂った女」になる
*8:「羨ましい」「妬み深い」を意味する「envieux」の女性複数形。「ねたむ神」との表現は「モーセの十戒」に含まれる。
- 出エジプト記20章
- 5 あなたの神、主であるわたしは、ねたむ神であるから、わたしを憎むものは、父の罪を子に報いて、三、四代に及ぼし、
- 6 わたしを愛し、わたしの戒めを守るものには、恵みを施して、千代に至るであろう。
*9:正式な用語としての pierres précieuses(貴石)は、1940年に廃止された。歴史的な区分としてのみ残るのは
| 名称 | 透明/不透明 | 色 | 備考 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| ダイヤモンド | 透明 | 白 | 世界宝飾連盟では別途扱われる | |
| エメラルド | 透明 | 緑から青緑 | ベリルの一品種 | |
| ルビー | 透明 | 赤から緋色 | コランダムの一品種 | |
| サファイア | 透明 | 赤(ルビー)以外のすべての色 | コランダムの一品種 |
また、エミリー・ジェラルドEmily Gerard『森の彼方の国。 The Land Beyond the Forest. 』(1888) 26章 ルーマニア人の迷信、日付と時間。ROUMANIAN SUPERSTITION: DAYS AND HOURS.には、次のように記す。アイルランド出身の女史は御存知無かったようだが、この迷信はルーマニアに限らず、欧州一般に流布したものかもしれない。
復活祭の前夜には、魔女や悪霊が出没し、隠された財宝が炎を揚げてその場所を洩らすと言われている。
In the night preceding Easter Sunday witches and demons are abroad, and hidden treasures are said to betray their site by a glowing flame.
*10:
特定の技能集団かと考えて検索したが、見つからない。七金属(Seven metals)の事かもしれない。
| 金属 | 鉛 | 錫 | 鉄 | 金 | 銅 | 水銀 | 銀 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 元素 | Pb | Sn | Fe | Au | Cu | Hg | Ag |
| 原子番号 | 82 | 50 | 26 | 79 | 29 | 80 | 47 |
| 惑星 | 土星 | 木星 | 火星 | 太陽 | 金星 | 水星 | 月* |
| 記号 | ♄ | ♃ | ♂ | ☉ | ♀ | ☿ | ☽ |
* 月は衛星であるが、占星術・錬金術(というより天動説)に於ては惑星とされた
*11:この言葉は 92.『盲人』に出てくる
*12:91. 『ちっちゃな老婆たち』の le dos bas, vous côtoyez les murs ;を想わせる
*13:「飲んだくれ」「酔っぱらい」の意であるが、転じて「酔わせる」店の名や銘柄に使われることがある
*14:代名動詞s'attarderの活用形。ここでは「帰りが遅くなった」ことをいう
*15:動詞fouler(踏む)の活用形
*16:cheval「馬」の複数形。「帰りが遅くなって馬複数に踏まれた」とは、朝になって走ってきた2頭立て以上の馬車、おそらく郵便馬車に、路上で寝ていた老人が轢かれた。そんな事件があったのかと思うが、今のところ見つからない
*17:火薬の発明は中国人。これを意識していたなら「中国人は悪魔」ということになるが、そうは読めない。二月革命の思い出か?ボードレールと二月革命参照
*18:創世記4章 15 主はカインに言われた、「いや、そうではない。だれでもカインを殺す者は七倍の復讐を受けるでしょう」。そして主はカインを見付ける者が、だれも彼を打ち殺すことのないように、彼に一つのしるしをつけられた。
*19:リュディア王クロイソスは、莫大な富で知られる。ギリシャ・ローマ以来、金持ちの代名詞 ja.wikipedia.org mused.com
*20:聖痕崇拝を指すものかja.wikipedia.org fr.wikipedia.org
*21:聖骸布であろうか ja.wikipedia.org
*22:キリスト教徒が犯した罪の「懺悔」「告解」を聞き届け、 「赦し」を与える聴罪司祭
*23:聖ヨセフはイエスの養父とされるのに対し、アダムとイヴを唆した「誘惑の蛇」はサタンとされる
*24:colères noires は「癇癪持ち」
*25:ルカによる福音書23章 42 そして言った、「イエスよ、あなたが御国の権威をもっておいでになる時には、わたしを思い出してください」。







