Laura Stephenson: Natural Trash
Laura Stephenson 女史が、アルバム Natural Trash を発表した。曲目は
- The One Who Walked Away
- It Goes
- Sinner
- Radio Silence
- Arkansas
- Time
- Rules
- Hero
- Incomplete
- Your Biggest Fan
全10曲、自作自演。名前の読み方は、これで正しいのか判らない。「ローラ・ステファンソン」で引くと複数の女性歌手が出てくるのは、どれもこの音楽家のことではなさそうだ。「アルバム」といっても配信のみで、ディスク販売は見当たらない。ジャケット写真ならぬサムネイルは、お花畑のような落ち葉のような花吹雪の後のような、写真のような絵画のような図像で、バールのようなもの乀ではないこと以外、これも何なのかよく判らない。

表題 Natural Trash は「資源ゴミ」すなわち再利用可能な廃棄物に当たるが、直訳すれば「天然廃棄物」となるから、落ち葉のことだろうか。金木犀と銀木犀の花吹雪なら、とても香り高いことだろうが、その種類には見えない。アルバム情報を検索しても、歌手本人を調べようとしても、全く情報が出てこないのはいっそ清々しいまで。
収録曲の基本はギターかピアノの弾き語りスタイル、前世紀後半に「シンガーソングライター」と持て囃されたフォーク歌手を思わせる。そこに加工を乗せるので、ジャンルとしてはエレクトロアコースティックになるだろうか。声を張った歌唱ではなく、速弾きすることもなく、綺麗というよりあどけない声で語るように歌う。けれど、どうやら聞いた感じそのままではない。
3. は「罪人」と歌っていてギョッとするものの、this sinner と歌うから自分のことらしい。「こんな罪人」とは、「我ト我ガ身ヲ罰スル」どこかのひねくれた詩人のようで。ゆがんだ……というより、フクロウが180度首を回すようにネジれた感じがちらほらと。

歌詞が公開されていないので、明確ではないのが残念。
5. Arkansas はアメリカ合衆国アーカンソー州のことで、The Natural State とも呼ぶそうだから、アルバムのコンセプトとしては「自然」になるのだろうか。
2. It Goes に聞くパリパリした音は、たぶんフラットマンドリン。朔太郎も愛用したマンドリンの音、それをギターの形状で出す、ギブソンの開発になる比較的新しい楽器。
もっぱらブルーグラスで使われるが、ブルーグラス自体、耳にする機会は少ないかと。「ドーグ・グラス」「ドーグ・ジャズ」を提唱するデヴィッド・グリスマンを御存知だろうか?彼の楽器がフラット・マンドリンで、ジェリー・ガルシアやステファン・グラッペリと共演した映像がある。
アーカンソーを歌い、こんなアメリカローカルな楽器を使っている辺り、このローラ・ステファンソン女史は、アメリカ人なのだろう。音楽にアメリカンな大雑把さは見られないのだが……
前作:Touchy Feelings
- One More Dream
- Something's Coming
- The Place You Want To Be
- December
- Hold Your Tongue
- Stubborn Eyes
- Summer
- So Long
- A Little Smile From You
- Through The Mountains
- Playing Tennis
全11曲。売る気あるのかと聞きたくなる前作。音はともかく、絵が酷い。おそらくAI生成になる絵で、掌に乗せたヒヨコが後光を発するのは、意味不明だけど悪くない。touchy-feely という言い方があって、「ベタベタひっつく愛情表現」「溺愛ぶり」といった意味合いだから、touchy feelings なる表題ともどもこの絵は「目に入れても痛くない」相手を表すものであろう。翻訳するなら『この子のためなら何事も』というところか。問題はそのヒヨコを乗せる人物像と背景で、黒メガネのチンピラが、たまたま拾ったヒヨコを自慢しているとしか見えない。こんなガサツなサムネイルからあんな繊細な歌に繋がるとは、なかなか想像できないのではないか。
これなどギター少女の弾き語りそのもので、サムネイルからの予想を裏切ること甚だしい。逆方向に印象的かもしれないが……
Wayside Triumphs
- One Fell Swoop
- It Goes
- Rules
- Arkansas
- Blindfold
- Ne Le Faits Pas
- What Brings Me Down
- By Now
- Your Biggest Fan
- Slow Horse
- Dirty Old Cloud
全11曲。時期的に、これがデビューアルバムだと思う。しかし実験的性格が強く、今回のアルバムと重複するナンバーも複数ある。
というより何より、絵が怖い。何かの裸婦像を加工したか、AI生成したものと思われ、しかしそんなことがどうでもいいくらいには、見ただけて怖い裸婦像になってしまった。それ以外は申し分ないのに。やはり売る気がないのだろうか……
以上、この時代にさっぱり情報がない、たぶんアメリカ人な歌姫のご紹介。盛り上がりこそ無いものの、歌声は可愛らしく、意外に根性のある女性だと思う。小生を含め登録者20名、曲によっては再生回数1桁に留まるのは、そんなに世界は冷たいのかと嘆息。