(ズービン・メータの)ブラームスはお好き?
筆者としても特段、好きな指揮者ではないし、そもそもブラームスは好きではないが。ブラームスをズービン・メータの指揮で聴きたい、と思う人は、あまり居ないのではないか。80年代、彼が若手指揮者として持て囃された頃、現代音楽やリヒャルト・シュトラウスなど派手なオーケストラ曲をよく録音していた。だいたい「力こそパゥワー」的に、アメリカンな音楽をつくる人と認識されていた、と思う。しかしその頃、入り浸っていた音楽喫茶に入ったら、実に力強い1番のエアチェックが流れていて、聞いてみたらメータだという。オーソドックスなドイツものを演る印象はなかったので大いに驚いたが、納得もした。当時のメータは波のある人で、大向うを唸らせたかと思うと、気持ちの籠もらない演奏を連発して「メッキが剥げた」などと書かれる始末。逆に言えば、10回に1回は素晴らしい演奏を披露する人であった。
ブラームス:第1交響曲ハ短調作品68
言うほど良い曲か?と常々疑問には思いつつ。先述の喫茶店で流れていたのもコレだったので、やや不本意ながら、この曲から始める。
ミュンヘン・フィル(セッション録音)
そんなメータが、ミュンヘン・フィルを振った最新作がコレだ。流石に若々しさは何処かへ行ってしまったけれど、オーソドックスな力強さは健在。
フィレンツェ音楽祭
Orchestra del Maggio Musicale Florentino とあるのみで、オーケストラの実体も日時も不明。2012年アップロードだが、画面に 2000 と出ていて、その頃の録画ではないか。やや不明瞭な画質に加えて、あちこち音飛びがあるのは残念
第1ピアノ協奏曲ニ短調 作品15
アルトゥール・ルービンシュタイン独奏
若手指揮者として売り出し中だったメータに、ルービンシュタイン御大が付き合ってやった感のある一曲。異色の組み合わせと評判になった記憶があるけれど、当人にとっては、そうでもなかったようだ。
第2ピアノ協奏曲変ロ長調作品83
ウラジミール・アシュケナージ独奏
ジャケット写真からも若々しさが窺える頃のアシュケナージと。順当な組み合わせだったのではないか。
(第1ピアノ協奏曲含む)ミュンヘン・フィル演奏会
Konzert der Münchner Philharmoniker am 29.05.2015 in der Philharmonie im Münchner Gasteig
- Dirigent:
- Zubin Mehta
- Pianist:
- Rudolf Buchbinder
- Felix Mendelssohn Bartholdy
- Konzertouvertüre zu "Ruy Blas" op. 95
- Johannes Brahms
- Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 d-Moll op. 15
- Pjotr Iljitsch Tschaikowsky
- Symphonie Nr. 6 h-Moll op. 74 "Pathétique"
ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77
ヴァイオリン弾きで友人のヨアヒムが来ると必ず、ヴィオッティの第22協奏曲を弾いて貰い、自らはピアノを弾いて、その度に「なんと美しい曲だ!」と感動に打ち震えるブラームスだったが、ヨアヒムの方はすっかり嫌気が差してしまったとか。それで自分でも書いてみたのは良いが、この一曲きりで終わってしまったという辺り、やはりブラームスである。
アイザック・スターン独奏(1979)
ニューヨーク・フィルを指揮。スターン御大を迎え、なんと映像つき。TV放送用の録画と思われる
デヴィッド・ガレット独奏
二重協奏曲イ短調作品102
正しくは「ヴァイオリンとチェロ、管弦楽の為の協奏曲」というのだが。長くなるので、みんな「ダブルコンチェルト」で済ますという、どこかぞんざいな扱いを受けつつも、コンサートの目玉になりレコード会社の収入源になった一曲。
Violinist: Pinchas Zukerman
Chelist: Amanda Forsyth
これはズービン・メータ80歳の誕生日記念。最後の最後に、オーケストラが Happy Birthday to you をチラッと演るのだが、みんなで歌うようなことにはならなかったのが残念
第4交響曲
筆者にとって、ブラームスの交響曲では、4番が一番良い。その次が2番。1番は、その後。これまで聞いた4番の中では、フルトヴェングラーさん指揮するベルリン・フィルのものが特に美しい。メータは遅めの速度をあまり変えず、ほぼ恒速で最後まで進むから、あのドライブ感はないし、圧力のような空気も感じない。音の建築と取るなら、これはこれで。
ミュンヘン・フィル
第2交響曲ニ長調作品73
ミュンヘン・フィル
第2交響曲の動画は、イスラエル・フィルとのライブ動画を Euroarts が配信しており、そちらは視聴回数19万を超えているのだけど、配信元の制限により YouTube 外部では見れない。再生回数は桁違いに少ないものの、オーケストラの実力はミュンヘン・フィルが上ではないかと思われるのだが。
『ハイドンの主題による変奏曲』もあるのだが、変奏を一々細切れにして配信している。えっ、そこで切る?
細切れを拾って回るのも面倒で止めた。YouTube Music をお使いの方は、「アルバム」から探すとよい。
そもそも思いつきで始めた記事とはいえ、やってみるとやっぱり、メータのブラームスは配信が少ない。聴いてみると悪くないのに、やっぱり似合わないと思われてるんだろうな……
以上、お粗末様でした。
