POETIC LABORATORY ★☆★魔術幻燈☆★☆

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【作詩】火事だ!

と叫ぶ人はいなかった
自分は夜食を摂っていた
何かぶつける物音はしたが
酷い悲鳴が聞こえはしたが
クリスマス・イブの日になったばかりで
喧嘩は善くないぞとしか思えなくて
でもアパートの廊下を走る人もあり
そのうち不穏な気配というか焦げ臭くもあり
……え、焦げ臭く?
と、扉を少し開く

もくもくもくもくもくもくもくもく
煙が充満もくもくもくもく
ゑ何じゃこりゃもくもくもくもく
風呂沸かしてるのにもくもくもくもく

慌てて引っ込み消火器掴み
少し考えマスクを探し
自転車用の鉄兜(ヘルメット)……は、まあいいか
外は寒いし半纏のままだがいいか

扉を閉めると反対側に
何やら明るく火もついて
…ひ?まさか?灯(あかり)じゃない?
ご主人向こうでバタバタしてない?
なんか玄関、火が出てない?
なんで報知機鳴ってない?

ご主人うろうろ何かを探す
「消火器なら、ほら」つい差し出す
ひったくるように持って行かれて
ジウウとたちまち火が消え…
消え……消し切れずにまた出る焰、ええ…

これはもうダメか逃げ出すか
貴重品だけ詰め込むか
買える本ならまた買えばいいが
引っ越してきた本箱もまだそのままだが
とりあえず上着の上にガウンを羽織って
お隣の老夫婦の旦那さんが野次馬していて
いや、危ないですよ避難しませんか?
そうこうするうち、サイレン鳴らして消防車が

階段降りて思い出して風呂を止めに戻る
自動運転だが焼けてしまったら止まらなくもなる
下から見たら火元は下階からだった
悔しいが、どうせ消せやしなかった…

どうやら火が消え、帰って見たら
換気のためか窓が開き、白い布団に黒い靴跡
焦げ臭い以外はほぼ被害なし、やれやれ
暖房入れてざっと掃除、もう眠いやら寒いやら

明るくなってから見ると、燃えたのは
自分の部屋の隣の隣、その先に消火栓と火災報知器が…
まあそういうこともあるものだ
ほぼ被害なし、自分が熱出して寝込んだだけだ

 

火の用心!


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