[POETIC LABORATORY] ★☆★魔術幻燈☆★☆

詩と翻訳、音楽、その他諸々

【オーディオ】空想回路実験:2段差動シングル?+ヴェーグ四重奏団の芸術

5極管ペントードへのグリッド接地応用

格子電極グリッド接地は、ミラー効果に足を取られる3極管でこそ福音と成り得る回路で、5極管は内部でカスコード接続しているような構造、つまりはグリッド接地を抱え込んでいるから、これをグリッド接地で使う意味はあまり無い。しかし陰極には抵抗より、上條信一氏のコンプリメンタリ差動を使いたい。次いでに「5番」の楽曲を並べてみたい。という訳で(机上のみで)やってみる。

www.ne.jp

ベートーヴェン:第5ピアノ協奏曲(マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送響+ダニエル・バレンボイム Pf)


www.youtube.com

超三結+グリッド接地

5極管をグリッド接地で使う回路を考えていたら、なんか違うものができた。基本的には上條信一氏の提案になる超三極管接続Ver.1のカソード抵抗を、PNPエミッタ・フォロワに置き換えたもので。グリッド接地にコンプリメンタリ素子を用いるアイデアも、上條氏によるもの。

ベートーヴェン:第5交響曲(カール・ベーム指揮ウィーン・フィル)


www.youtube.com

終段陰極カソードへの入力

終段格子電極グリッドに反転信号を入力する以上、陰極への入力は非反転信号にしないと意味がない。同相入力すると、CMRR 次第ではあるが抑圧されて、なかったことにされる。言い換えれば、雑音にしかならない。
だから差動入力するのだが、では非反転となる、そんな都合のよい出力はないかと考えて、初段陰極から出すことにした。P/K分割反転器インバータと同じような形になるけれど、此方は無駄にされていたカソード・バイアス分を出力するだけなので、出力はたかが知れている。
受け取る終段ファイナル側も、無駄になっていたカソード・バイアス分を陰極へ出力するだけなので、いよいよたかが知れている。ただ重要なのは、位相が格子グリッドとは逆なので、差動入力となる。これで「入力の差分を増幅して出力する」差動増幅器そのままの動作となり、CMRR 向上が期待できる。プッシュプルではないから、平衡を採る必要もない。

ベートーヴェン:第5ヴァイオリン・ソナタ(ヴォルフガング・シュナイダーハン Vn ルドルフ・ケンプ Pf)


www.youtube.com

安全対策

PNPエミッタ・フォロワの動作電圧はベース電位で決まるから、初段陰極に繋げた。初段の電流が増えると初段陰極電位が上がり、終段陰極も連動して電位が上がり、バイアスが深くなって、電流を抑える仕組みである。
ただそうすると、終段バイアスを稼ぐため初段陰極電位を嵩上げする必要があり。それ自体は定電圧ダイオードで下駄を履かせれば済む話だが、初段がアースから浮いてしまうのはどうにもならず、入力コンデンサを入れて直流を切る必要がある。

ベートーヴェン: 第5ピアノ・ソナタ(エミール・ギレリス)


www.youtube.com

G1G2同時入力

征矢進氏の4DC方式では、カソード・フォロワ負荷を分割してG2,G1に配分し、全段直結としていた。氏の回路そのものが見当たらないので、これを再現した人の回路図を拝借すると

oldvacuumtube.blog79.fc2.com

なるほど。というところであるが、直結すると電圧調整が難しいし、今回の眼目はそこにないので、G2 - G1 は結合コンデンサで済ませた。直熱管フィラメント周りの処理も興味深い。

シューベルト:第5交響曲ロ長調(ヨナタン・コーエン指揮ヘッセン放送交響楽団)


www.youtube.com

2段差動シングル?フィード・フォワード?

では全体として、この回路は何なのか。

  1. シングル・エンドには違いない。前後段とも、単管で差動増幅させているというだけで。
  2. 打ち消し回路として見ると、負帰還に依らない打ち消しをしているので、FeedFoward ということになろうか?局所帰還も併用だけど。

小生程度に考え付くものだから、もう何処かの誰だか提案済みに違いないが、ちょっと見当たらない。使用球から見ると、一般的な SRPP+5極出力管の構成なので、お手元のシングル・アンプを少し手入れするだけで試せるとは思う。

ベートーヴェン:第5弦楽四重奏曲(ヴェーグ四重奏団)


www.youtube.com

ヴェーグ四重奏団の芸術

というところで、スクリベンダムから出たCD箱のご紹介。

1950年代前半のモノーラル録音で、外箱・内ジャケット・レーベルとも全て同一の写真と意匠。

曲目は、こんな感じ。ベートーヴェンとバルトークの全集、モーツァルトとブラームスの選集。シューベルト、スメタナ、コダーイを1曲ずつ。ベートーヴェン全集は、「ラズモフスキー」以降の番号がないが、全て番号順。

音は良い。何をどうやったのか、雑音は聞こえない。嘗ては雑音除去で音も死んでいたのに、今日ではディジタル処理技術が発達した故か、生気あふれる音色。ここに聞くベートーヴェンは「愉快」の一言。筆者はコンサートに行くとたいてい、実に心地良くなって、つい居眠りしてしまうが、CDだとそれがなかった。それがこのディスクを聞くと、その感覚を思い出してしまった。不眠症にも良いかもしれない。

指揮者シャーンドル・ヴェーグの名は、前世紀から時折、耳にしたものの、ヴェーグ四重奏団のことは正直、記憶になかった。動画で初めて聴いたときは仰天したものだ。学生時代にはブッシュ四重奏団が至高と信じていたし、フランスの四重奏団はカペーしか知らなかった。今にしてみると、偏った聞き方をしていたとは思う。しかしカネもなくインターネットもなく、レンタルレコード店でもクラシックは人気無かったし……色々聞ける今は良い時代になった……のか?音楽産業自体が青息吐息のような。何にせよ、良い商品を購入するのが音楽家への貢献の筈だ。