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回生ダイオードとは
前回の続きになる。電解コンデンサの直列接続について、friendsofvalves さんは検討済みとのことであったが、お悩みの一つはブリーダー抵抗の抵抗値決定にあるようだから、ここは一つ、解決策を提案したい。それが標題の通り、シリコンダイオードの利用である。まず回生ダイオードというものについて、とりそぼろ爆撃手による用例を御覧あれ。

とりそぼろ爆撃手がいう「GNDに落ちている1N4001」つまり逆向きに、天を指している整流ダイオードが(そうは書いてないが)回生ダイオードになる。通電時は導通しないので、意味がないように見える。ところが、そうでもないのは電源切断時で、9Vの供給が断たれると、パスコンの充電がなくなり、放電が始まる。すると回生ダイオードが導通し、放電回路ができるので、パスコンの放電が終わるまで、増幅器には電源が供給される。

従って、スイッチを切ってもブチッと止まるのではなく、徐々にフェードアウトするし、そうなるとスピーカーも傷みが減るし、コンデンサの放電が終わっているから点検修理にも安全。
なに、翌朝の突入電流が心配?サージ防止を兼ねて、整流管には保護抵抗を入れるべきなのだ。実はシリコンダイオードでも同じことで、資料には耐サージ規格まて公表されているのだが、石アンプ電源に保護抵抗を入れることはない。低電圧な分だけ電流を大きくするから、抵抗では電圧降下が大きくなり過ぎる。だからサージ対策は、LC でやっている筈だ。球アンプにその恐れはないので、ダイオード整流の音が良くないとお悩みの方は、保護抵抗をお試し頂きたい。
なお、とりそぼろボマー氏のブログについては、検索して見つけただけで、他意はない。印象的な名乗りは気になるが、どうぞお元気で。
逆流防止やダイオードクランプ
ぺるけ氏の著作でも同様の回路を見たことがあり、「電解コンデンサ保護」とされていた。と思う。どちらかというと、両方向に使えることの方が大きい気がする。逆圧防止になるのは見ての通りで、ディジタルICのアースや電圧制限にも使われる。雑音防止に抵抗を入れるのだが、数が多いので抵抗だと損失が無視できず、IC ならダイオードくらい造り込めるということらしい。

昔は平滑回路の出口あたりにブリーダー抵抗が入っていたものだが、今にして思えば、アレは平滑回路の性能を補いつつ、コンデンサを放電しておくために入っていたのだろう。経年劣化で切れるのは致し方ないとして、爆発とかさせてしまったら、保証期間外でも損害賠償を請求されかねない。抵抗なら安いし。…知り合いの子は「ありゃ爆発させて処分するモノでしょ?」と宣い、実行したそうだけれど。それは彼女が後輩共をアゴで使える立場の女帝だったから、飛び散った後の片付けまで人にやらせることができたのであって、一般人は真似してはいけない。
分圧回路の置き換え
ようやく本題。どこで見たか忘れたが、分圧回路の代わりにも使えた筈だ。今回の電源回路では

こんな感じ。電解コンデンサの直列接続について、直ぐには問題がなくても懸念は残るし、音が良くなる可能性もあるから、このくらいの手間は掛けて良いと思う。20年くらい前だが、このような回路をシミュレートし、プローブ当ててみたら、ケミコンの信号波形が消えていたから。どうもトランスが近くにある場合、ケミコンとダイオードが相補的に動作することもあるようなのだ。
なお、計算が面倒くさいという点に関しては、アプリ Electrodoc 日本語版が便利。
分圧抵抗とかフィルタとかLM317とか、ちょっとした計算をよくやる人にとっては、無料版でも割と使えるツールだと思う。
センタータップ両波整流でシリコンダイオードを使う場合
今回は整流管なので関係ないのだが、出力確保と費用と場所などの制約から、シリコンダイオード整流を選ぶことも少なくない。しかし用例を見る限り、単に整流管を置き換えただけの形をしているのは気になる。

これの何処が良くないかというと、整流子がアースから浮いてしまっている。雑音というモノはインダクタンスを断続するときに発生するモノであり、その抑制は結局のところ、抵抗で抑えるか、LCで吸い取ってアースに流すしかない。ところがシリコンダイオードは整流管より格段に内部抵抗が低く、雑音を抑えられない。のみならず、接地されていないと雑音をアースに流すこともできない。ので、この回路は整流に伴い、わざわざ雑音を発生させて電源供給先に送り込む設計である。単一のトランスから複数の電源を供給するなら、こんな回路でも致し方ないけれど、真空管アンプでそれは少ないのではないか。単一電源ならば即刻、シリコンダイオードを接地側へ入れるよう繋ぎ直すべきだ。シリコンダイオードを逆向きにするということは、センタータップを出力点にすることになる。

この図には描けなかったが、整流子の手前には保護抵抗を入れるべきだ。Xコンデンサもあれば尚良し。そう言えばしばらく前に、シリコンダイオードを逆向きにすると音が良いという主張があった。その原因がこのことなら、それは当然なのだが。