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【オーディオ】空想回路実験(12)マイナス給電方式の応用、及び整流管で得る負電源


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マイナス給電増幅器

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Wat!氏の「マイナス給電」方式アンプは、10年前には完成していたようで、何となく記憶に有った。ふと思い出して見返すと

Wat!氏の提案

1号機増幅回路

1号機電源回路

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汎用機増幅回路

汎用機電源回路

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回路を読む

掲載された回路図が理解できないので、描き直してみる。

1号機増幅回路

汎用機増幅回路

この増幅器初段プライマル地面グランドに積み上がるように、終段ファイナルは地面から吊り下がるように設計されている。終段陽極プレートが出力変成器トランスを介して接地されているのは、見ての通り。負帰還は、超三結ではないが、同様に出力トランスを通さず、終段陽極から初段へ返している。汎用型では、初段の陰極カソードに対して負帰還、遮蔽スクリーン格子グリッドに対して正帰還となり、正帰還は発振を招くから、発振止めとして位相補償を追加してある。そこを除けば「マイナス給電」以外、そこまで変な回路ではない。特に目を引くのは、帰還径路に結合コンデンサを入れていない、つまり直結。しているので、直流帰還が掛かっている。実際には出力トランス分の電圧降下があるから、帰還抵抗の両端に電圧が掛かるのを誤魔化すため、高抵抗値にして電流を絞ってあるが。

目玉の「マイナス給電」は、終段の陽極を(負荷を介して)接地し、陰極に負の高圧を与える方式をいう。外層になる陽極が接地されているということは、内部にある陰極を、外来雑音から守る遮蔽として機能する筈だ。これ、応用できないかな?例のグリッド接地アンプに。


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グリッド接地アンプへの応用

91型、つまり五極管で三極管を駆動する音声増幅器の High 落ちを補うべく。三極管をグリッド接地とし、カソード抵抗を PNP エミッタ・フォロワに置き換えた上で、マイナス給電方式を適用すると、こんな回路が考えられる。どう頑張っても段間直結は無理で、RC 結合に頼るしかないが、負帰還は直結。Wat!氏の回路では、カソード接地二段で非反転出力だから、通常の p-k 帰還で、普通に陰極に戻してある。このとき直流では、初段陰極電位が終段陽極より高いから、初段カソード電流 Ik1 の一部が終段陽極電流 Ip2 の一部となる。しかし、この回路は初段カソード接地、終段グリッド接地で反転増幅器となるから、格子に戻すしかなく、格子には電源がないから、そのままでは動作しない。思案の末、Ik1 を繋いでカソード電流を食わせることにした。


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電源の問題

マイナス電源アンプの画期的な増幅回路に対し、電源回路は甚だ簡素で、遅延回路は入っていない。傍熱型真空管は、電源投入してから温まるまでは導通しない。遅延がないと、真空管が温まるまでは、各所の素子が高圧を食らい続け、導通した瞬間に突入電流が流れてスピーカはポコッと音を立てる。その上、デカップリング用のパスコンが巨大で、突入電流もさぞかし巨大……と思いきや、故障の原因にはなっていない。理由は供給先が定電流ダイオード CRD (+ 定電圧ダイオード)になっており、CRD は波形を通さないから。この CRD はしかし、カソード抵抗の代わりに入れてあるもので、出力管の定電流駆動をしないなら、遅延回路を入れるしかない。具体的にはタイマーリレーかサーミスタを組み込むか、あるいは傍熱型整流管を使う。整流管はタイマーより安くて簡単、場所を取るのもタイマーと大差ない。真空管アンプなら、見た目からも整流管を使いたい。


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整流管で得る負電源

整流管で負電源を得るには、単純に向きを逆にすればよい。真空管ラジオでは普通に使われていた技術だが、今では忘れ去られているようだ。

Google 検索の AI 回答

試しに「真空管アンプ 自作 整流管で得る負電源」をGoogle 検索したところ

真空管アンプの自作において、整流管(2極管)を使用して負電源(バイアス電源など)を生成することは可能ですが、一般的ではありません。通常、負電源の生成にはシリコンダイオードがよく利用されます。 

以下に、整流管による負電源の生成に関する考慮事項と一般的な方法を説明します。

整流管による負電源生成

整流管は、基本的に交流を直流に変換する(整流)ための真空管です。通常のアンプ回路ではB電源(高圧の正電源)の整流に使われますが、負電源の生成にも原理的には応用できます。 

倍電圧整流回路の応用: 倍電圧整流回路(コッククロフト・ウォルトン回路など)の原理を応用すれば、トランスの巻線から負電圧を取り出すことは可能です。

トランスの極性: 電源トランスの巻線の一方の端子をグランドに接続し、反対側の端子からの交流電圧を整流管で半波整流することで、極性を反転させた負の直流電圧を得ることは理論上可能です。 

しかし、実際にはいくつかの課題があります。 

適切な整流管の選定: 負電源に必要な電圧と電流に適した整流管を選定する必要があります。負電源は通常、B電源に比べて低電圧・小電流ですが、ヒーター電源(通常AC6.3Vや5V)から得る場合は、その電圧・電流特性に合った整流管(またはダイオード)が必要です。

回路設計の複雑さ: シリコンダイオードと比べると、整流管はヒーター配線が必要で、配置スペースも必要となります。また、整流管の内部抵抗や特性(ダイオードと異なりある程度の電圧降下がある)も考慮した設計が求められます。

効率と実用性: 真空管による整流は、シリコンダイオードに比べて効率面で劣り、またノイズが発生しやすい場合もあります。安定した低い負電圧を得るには、平滑回路(コンデンサや抵抗)の設計が重要になります。 

一般的な負電源の生成方法

自作真空管アンプで負電源(主にパワー管のグリッドバイアス用)を生成する場合、信頼性や簡便さから以下の方法が一般的です。

シリコンダイオードによる整流:

トランスのヒーター巻線(AC6.3Vなど)や専用のバイアス用巻線(もしあれば)から交流を取り出し、シリコンダイオード(例: 1N4007など)で整流し、負電圧を得る方法が最も広く採用されています。

シリコンダイオードは小型で安価、高耐圧のものが容易に入手できます。

専用ICや安定化回路の利用:

より安定した負電圧が必要な場合(特に高音質を追求するアンプや、調整可能なバイアス電源の場合)、三端子レギュレータなどの半導体素子を用いた安定化電源回路を構成することもあります。 

まとめ

整流管を使って負電源を作ることは可能ですが、回路設計の難易度や部品選定、実用性を考えると、シリコンダイオードを使用する方が自作初心者にはおすすめです。まずはシリコンダイオードで負電源回路を構築し、アンプの動作を確認することをお勧めします。

AI は不正確な情報を表示することがあるため、生成された回答を再確認するようにしてください。

と、解らないことを誤魔化したようなAI回答があった。しかし整流管を使って負電源を得るのは、別に難しいことではない。


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半波整流

見ての通り、正電源とは逆向きにしただけ。この回路設計の何処が複雑なのか、相手が人間なら聞いてみたいものだ。使用する二極管は、陽極・陰極とも一枚の半波整流管 half wave rectifier でよい。テレビ用のダンパー管6AU46DA46AY3などがこれに当たる。半波というハンデはあるものの、定電流回路の電源なら、これで十分だろう。


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次いでに暖機時間の話

12D417D4 のみ Heater Warm-up Time11 seconds と記してあるのは、文字通り暖機時間が11秒に規制されている。繋ぐ先の方でも同じことをやっていれば、タイミングを合わせられる。テレビ用の規格なので、6.3V版は対応していないのが残念。


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全波整流管 full wave rectifier と称しても、6CA4/EZ81など陽極のみ二股になっている球はこの場合、全波整流できない。使えない訳では無いが、半波整流になる。


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プレート保護抵抗の話

なお 6CA4/EZ81 に限らず、出力用整流管として使う球は、プレート保護抵抗の指定がある。

これは製造元の蘭 PHILIPS が出していた資料の一部で、上記 Limiting Values のうち Rt をグラフにしたもの。両波整流250V で 150Ω以上、300V で 200Ω 以上の対トランス抵抗 Rt が求められる。電源トランスの銅損がこの値を満たしていれば、追加抵抗 Radd は不要だが、そうでないなら不足分の抵抗を追加しなければならない。平滑コンデンサも過大にしてはいけない。さもないと、球の寿命が縮む。整流管を利用していたら、この点に注意して規格表と電源トランスのDCRを確認されたい。


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全波整流

全波整流管のうち、陰極も二股になっているものは、負電源を全波整流できる。separate cathode diode で検索すれば、幾つか出てくる。陽極は共通でいいのだが、そんな球は存在しないようだ。

但し6AL5のような検波管は、100V 少々までしか使えないから、真空管の電源にするには無理がある。

6BY5、12DF5 のようなダンパー管なら、そもそも高圧用だから問題ない。


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半波整流管も2球あれば全波整流できる。その分の場所とヒーター電力が必要にはなる。

用例

以上を踏まえて、提案した増幅回路に対応する電源を考えてみる。出力管に傍熱管を使う場合は、ヒーター・バイアスを追加する。

描いておいて何だが、直熱出力管に傍熱整流管を宛行う意味はない。実際に作るなら、2A3 はシリコンダイオード整流にするだろう。というか、高価な 2A3*1 でなければならない理由もないので、ロシア管6Н6П(6N6P)を出力管に、7kΩ負荷で使うとすると

最初は楽そうに見えた p-g 帰還の方が、上手く行くか不透明な感じだ……

*1:嘗ては「初心者用」とされたが、何処が初心者向きなのやら。今も昔も入手は少々難しい