世にも不思議な物語詩集
Tales of Wonder!

Mathew Gregory Lewis 作
萩原 學 訳
第1巻
マシュー・グレゴリー・ルイス(Matthew Gregory Lewis, 1775年7月9日 - 1818年5月14日)は、ゴシック小説『修道士 The Monk』(1796)が大当たりして「マンク・ルイス」と呼ばれるに至った作家であると同時に詩人でもあり、自作他作のゴシックなバラッドを集めたアンソロジー "Tales of Wonder"(1801) を出している。邦訳は今まで出ていない。
Tales of Wonder!
James Gillray画
ロンドンでは年初に2巻セット、年末に1巻の第2版を発行した。この第2版は改訂版というより、(別に発表済の)ロバート・サウジーの作品を削除した縮小版。ダブリンでは逆に、1801年の初版が1巻、1805年の第2版が2巻になっている。この翻訳には Google books にて配布されるロンドン初版2巻物を用いた。当然ながら、原文に著作権はない。
この本については、別の本 Tales of Terror と抱き合わせにしたものが流布したのだが、最近になってこれを研究したロードアイランド大学の Brett Rutherford 教授によると、Tales of Terror は別人の作で、ルイス作品への侮辱であり、中でも Henry Morley による校訂版(1887)は脱漏も多く、序文は間違いだらけで読まない方が良いという。そう主張するラザフォード教授が出した校訂版を頼りに翻訳を進め、但し翻訳権など持たないので、教授による序文など全文は掲載できないが、裏表紙に転写された宣伝文句の一部を引用させて頂くと
第1巻:紀元300年頃に書かれた幽霊または吸血鬼の物語。10世紀のルーンの葬送歌。イングランドを侵略したサクソン人とローマ人の幽霊との出会い。北欧の女戦士が父親を蘇らせるために唱えた呪文。ゲーテの血も凍るような複音声の「エルフの王(邦題『魔王』)」に、運命の水の精たち。魔女の母を悪魔から救おうとする(失敗した)修道士と修道女。誇り高き画家のサタンとの出会い。スペイン継承戦争の惨状を舞台にした運命的なロマンス。そして、果てしなく続く森の旅。
と謳われている。標題の Wonder は「ワクワク」ではなく「ゾクゾク」に属する「ドキドキ」と受け止めて頂きたい。19世紀初頭、当時はまだ当たり前だった死と向き合う不思議の味わいを、ここに初めてお届けする。眠れない夜のお供に、眠らない悪い子の枕元に是非。
目次
- ボスウェルのボニー・ジェイン BOTHWELL'S BONNY JANE.
- 獅子オズリック。OSRIC THE LION.
- ヘンギスト殿。SIR HENGIST.
- 勇者アロンゾと麗しのイモジン Alonzo the Brave and Fair Imogene
- 墓守ギルス・ジョラップと色黒サリー・グリーン Giles Jollup the Grave, and Brown Sally Green
- 妖精の丘 ELVER'S HOH
- アンガンチュールの剣。THE SWORD OF ANGANTYR .
- ハチョ王辞世の句 King Hacho's Death Song
- 妖精王 The Erl-King
- 妖精王の娘。The Erl-King's Daughter.
- 水の王 The Water-King.
- 火の王。The Fire-King.
- 雲の王。The Cloud-King.
- 漁師 The Fisherman.
- 水夫の話。The sailor's tale.
- 姫君と婢。THE PRINCESS AND THE SLAVE.
- 華麗なる金の指環 Gay Gold Ring
- 不吉な白い女。THE GRIM WHITE WOMAN.
- 灰色の小人。THE LITTLE GREY ΜΑΝ.
- グレンフィンラス、あるいはロナルド卿の挽歌。GLENFINLAS, OR LORD RONALD'S CORONACH.
- 聖ヨハネ祭前夜。THE EVE OF SAINT JOHN.
![[(Tales of Wonder, Volume I)] [Author: Matthew Gregory Lewis] published on (February, 2012) [(Tales of Wonder, Volume I)] [Author: Matthew Gregory Lewis] published on (February, 2012)](https://m.media-amazon.com/images/I/519wRvfRkWL._SL500_.jpg)